ラ・ベンタ遺跡公園(4)「支配者」「墓」「若い女神」

ラ・ベンタ遺跡公園展示品紹介の続き・最終回です。私が個人的に気になった展示品を紹介します。これまでの記事はこちら。

ラ・ベンタ遺跡公園(1)「歩く人」「髭の男の石碑」
ラ・ベンタ遺跡公園(2)巨石人頭像の謎
ラ・ベンタ遺跡公園(3)祭壇(玉座)

目次

支配者(El Gobernante)

Monumento 77: El Gobernante

ジャガーの顔をしています。ベルト部分のシンボルは、祭壇の人物にも描かれていた「耕された焼畑」を意味するものです。

顔つき、全体の体つきから男性のように見えますが、ふくよかな胸も描かれていますね。でも女性には見えない。ちょっとぽっちゃりなオルメカ人の体型を忠実に表しているのかなと思います。当時の人の観察力はやっぱりすごい。

顔の横にプリーツ状の飾りがありますが、これはアマテという木からつくられた紙で、プリーツ状に折って飾りにしているのだそうです。このアマテの飾りが意味するものは… 生贄にされる運命
生贄にされる人たちは、耳飾りや首飾りなどの宝石をアマテでつくった飾りに置き換えられ、そのときを待っていたのだそうです。

農業を表すベルトのシンボルから、豊作を祈るために捧げられる生贄を彫った像だと考えられているようです。

墓(Tumba)

Monumento 7: Tumba
画像は Arqueología Mexicana より

玄武岩の石柱でつくられていますが、これこのままの状態で埋まっていたんだそうです。巨石人頭像もそうだけど、こんな大きなものを埋めるために土掘るのって相当大変。

お墓とタイトルが付けられていますが、ジャガーの小屋という説もあるようです。
というのもこのモニュメントの隣には石棺が埋葬されており、その中から人骨が発見されたのだそう。幻覚剤を摂取した神官が石棺の中に入り、ジャガー(地下世界の神)の唸り声を聞きながら地下世界へのトリップに出かけたのだとか…。かなり危険なあの世体験です。
ただこのモニュメントからも人骨が発見されているようなので、やっぱりお墓だったのかもしれません。

若い女神(Diosa Joven)

Estela 1: Diosa Joven

女神とのタイトルですが、おそらく男性の神官だと思われます。
胸とスカートっぽい服から女神と名付けられたのだと思いますが、全体の印象からはあんまり女性には見えないですよね。というかこの三角筋の持ち主を女性とするのはかなり無理があると思う。
当時は男女ともスカートのようなものを身につけていたようですし、先ほどの支配者の胸のことを考えると男性と考えるほうが自然ですね。

この像は横たわった状態で発見されたようで、石棺の中に横たわる神官を表しているとのこと。お墓のところで書いた「石棺の中でのあの世体験」説も、こうしたモニュメントの存在から補強されるのだそうです。

オルメカ文明では文字っぽいものは発見されているものの、歴史や事物を説明するほどの形を成してはいないようで、出土品の多くが謎に包まれています。その分、いろんな解釈が可能になる点が面白いですよね。

ラ・ベンタ遺跡公園の感想

オルメカ文明の謎の遺物に触れられる博物館。特に巨石人頭像や石彫りは、実際に目の前にすると圧倒される大きさです。それにやっぱり写真とは違う衝撃があるというか、なんでこんなものを? どうやってつくったの? などの疑問が湧き出てきますし、その表現の緻密さには感動します。紀元前800年ですよだって。

私たちはガイドなしで回りましたが、入口に1人ガイドのおじさんもいたので(たぶん英語ガイド)、興味があればガイドをつけるとより楽しめるのではないかと思います。

おすすめ度

ラ・ベンタ遺跡公園 ★★★★☆

ビジャエルモサはこの博物館が唯一の見どころで、積極的におすすめしにくい場所ではあるのですが、オルメカに興味があるのであれば絶対に行って損はない博物館です。

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※本文中の展示品についての記述は、メキシコの大学で受けたメソアメリカ美術の授業内容に基づいています。

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